インボイス制度

インボイス制度導入で誰が得するのか?誰が困るのかもあわせて解説

記事の要約

  • インボイス制度の影響が大きいのは、主に課税事業者を取引先にしている事業者
  • 免税事業者は、売上の減少があり、適格請求書発行事業者には、経理業務の負担がある
  • 複数税率に関することなど、インボイス制度だけで完全に解決することは難しい課題がある

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インボイス制度導入で誰が得するのか

インボイス制度導入で誰が得するのか

消費税の申告や計算は、とても手間がかかるため、これまでは課税売上高1,000万円以下の免税事業者の納税は免除されていました。

消費税は、商品やサービスの消費に対して課税される間接税ですが、事業者が商品やサービスを提供する際に消費税を徴収し、それを国庫に納付することになります。

しかし、一部の事業者は、免税措置が適用される場合があり、その事業者が提供する商品やサービスに対しては消費税が免除され、消費者は免税事業者に対して税込み価格で支払いを行います。

問題は、免税事業者が消費税を国庫に納付せずに手元に残すことができる点です。

免税事業者によって徴収された消費税の一部が国庫に入ることなく、実質的に事業者にとって利益となってしまうことから「益税」と呼ばれています。

この「益税」の存在により、国の税収に影響が出る可能性があるため、以前から問題視されてきました。

特に、免税措置が広範囲に適用される場合や、消費税率が高い場合には、その影響が大きくなります。

また、一部の事業者が悪意を持って免税を利用することにより、税収の逃れや不公平が生じることも懸念されます。

1989年の当初は税率3%でしたが、その後、段階的に引き上げられ、現在では10%となりました。

課税事業者と免税事業者の間では、ますます不公平感が大きくなっているようです。

そこで不公平感を改善しようとインボイス制度が導入されます。

 

インボイス制度は、複数税率導入による適正な処理や益税に対する不信感・不公平感などの課題を解決する一つの手段です。

この制度により、正確な税額が課税されることで益税の問題を一部解消できる可能性があります。

しかし、インボイス制度自体も不正や詐欺的なインボイスの発行を防ぐための対策が重要で、税制の見直しや税率の合理化、適切な免税措置の導入など、さまざまな政策アプローチが必要です。

 

インボイス制度で得する人とは?

正確な請求書(インボイス)を発行し、取引情報を正確に報告する誠実な事業者は、不正や誤った課税を避けることができます。

また、不正脱税や益税のリスクが低減されることで、税収が適切に確保されると、公共サービスの維持や向上に資金が供給されることが期待されます。

消費者が支払う税金が効果的に活用されることで、公共の利益に寄与されるでしょう。

税務当局は、取引情報を収集することで不正や漏洩を抑制し、税収の逃れを防止できるため、税収を確保することが期待されます。

税収の増加は、公共のサービスの向上や社会全体の発展に寄与するかもしれません。

しかし、一部の事業者にとってはインボイス制度の運用に伴うコストや手続きの増加が懸念されます。

インボイス制度導入のメリット

インボイス制度のメリットを大きく2つ紹介します。

  • 請求書等処理業務の効率化
  • 新しい取引先の開拓

請求書等処理業務が効率化される

インボイス制度では、商品やサービスの提供時点で消費税を納税するため、請求書に消費税を加算する手間がなくなります。

また、企業は取引の詳細な記録を保持する必要がありますが、請求書や支払いの追跡が容易になり、過去の取引をスムーズに確認できます。

インボイス制度の導入は、請求書の処理をより自動化し、デジタル化を推進する契機となるでしょう。

電子請求書の採用やオンライン支払いの導入により、手作業や紙の使用を減らし、処理の効率化が図れるでしょう。

新たな取引先の開拓ができる

インボイス制度の導入は、企業に新たなビジネスモデルの展開の機会をもたらすかもしれません。

税金の先払い制度を活用した早期割引やキャッシュバックプログラムなどの提案が考えられます。

これにより、新たな取引先を引き付けることができるかもしれません。

また、買い手が仕入税額控除を受けるためには、取引先の選定に適格請求書発行事業者であるかどうかが重要になります。 

売り手の免税事業者は、課税事業者となることで、新しい取引先を獲得するチャンスが広がる可能性が考えられます。

インボイス制度導入で誰が困るのか

インボイス制度導入で誰が困るのか

一部の企業や事業者は、インボイス制度により、キャッシュフローが圧迫される場合があり、特に資金繰りが厳しい事業者は困難を感じるでしょう。

インボイス制度の導入によって、一部の企業は販売価格を調整せざるを得なくなり、競争が激しい産業や市場では、価格競争力を維持することが難しくなるかもしれません。

影響が大きい事業者の例を紹介します。

  • 飲食店
  • 個人タクシー
  • フリーランス
  • 文房具店・書店
  • 小売・雑貨・絵画店

インボイス制度では、課税事業者が取引先からインボイスを受け取れないと困ってしまいます。

影響の大きい事業者として、飲食店があげられます。

特に会社の接待などで利用されるお店は、インボイスを発行することが多くなるでしょう。

そのようなお店ではレシートは発行せず、手書きの領収書に合計金額だけを記載することがあります。

令和5年10月以降は、合計金額だけを記載した領収書はインボイスとは認められなくなり、インボイスのシステムが切り替えられます。

また、個人タクシーもインボイス制度の影響を大きく受けてしまうでしょう。

タクシー代金などは、今までは交通費として仕入れ額控除をすることができていましたが、インボイス制度施行後はこれまで免税事業者だった個人タクシーは、インボイスを発行できなくなります。

事業者としては、インボイスが発行できないタクシーを利用することを避けるようになることが考えられるでしょう。

また、個人から作品を仕入れているような事業者も影響が大きいと言えます。

仕入れる際に、仕入れ先の個人がインボイスを発行することが難しい場合があるからです。

世間ではインボイス制度廃止要望の声が上がっている

現在、零細事業者は納税が免除されています。

しかし、インボイス制度開始からは、課税事業者としてインボイスを発行しなければ、取引先の税負担が増えてしまう可能性があります。

個人事業主やクリエーターからは、

  • 消費税を支払うと生活できなくなる
  • 支払わなければ取引を打ち切られる
  • 制度が導入されると廃業が相次ぎ、業界を縮小させる

などの廃止を訴える声があがりました。

まとめ

まとめ

インボイス制度導入のメリットは、企業と政府の信頼関係が強化されることです。

また、新たな取引先の開拓が可能となり、新たなビジネスモデルの展開が生まれるかもしれません。

インボイス制度導入による課題は、一部の企業などがキャッシュフローへの影響を受ける可能性があることです。

また、一般の消費者が商品やサービスの価格上昇を経験するかもしれません。

インボイス制度から逃れることは難しく、自社の状況を踏まえ準備を進めていく必要があります。 

インボイス制度の仕組みをよく理解し、制度に対応した会計・請求書作成ソフトの導入も検討しましょう。

補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!

インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。

そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。

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