記事の要約
- インボイス制度の対応にかかるコストの不安は、補助金を検討しよう
- インボイス制度に備え、請求書や領収書の様式を確認しよう
- 補助金制度については商工会議所、よろず支援拠点などに問い合わせることができる
インボイス制度への対応に関する補助金一覧
インボイス制度には、税務処理の簡素化や脱税の防止などのメリットがありますが、それに対応するために、請求書や領収書の様式を変更しなければなりません。
会計・受注システムの改修や新規導入の検討が必要になることで、コストがかかる場合があります。
そこで知っておきたいのが活用できる補助金について。
インボイス制度にかかわる補助金とは、中小企業や個人事業者へ経費や費用を補助する制度です。
IT導入補助金
IT導入補助金は、企業が情報技術(IT)を導入することで業務効率化や生産性の向上を図るために、国や地方自治体が支援する制度です。
インボイス対応も見据えた「デジタル基盤導入枠」で対応が可能です。
多くの事業者や個人事業主が補助対象ですが、業種ごとに条件が異なるので注意してください。
補助の対象となる経費
- ソフトウェア購入費
- ハードウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費 など
ITに関する投資や費用の一部を補助することができます。
IT導入補助金は、最大で350万円程度補助することができます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業者の事業継続を支援するための補助金制度です。
補助金の支援対象
- 事業承継・経営者交代のための支援
- 事業展開 (商品・サービスの開発)
- 海外進出のための支援
- 業務のIT化
- デジタルマーケティングのための支援
補助金は、事業継続に必要な経費に充てることができます。
- 機械設置費
- 設備処理費
- 資料購入費
- 開発費
- コンサルタント費用 など
補助率は、原則として3分の2程度であり、補助金の上限額は100万円です。
申請要件は、2021年9月30日から2023年9月30日までの課税期間で免税事業者であったことが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者になります。
補助事業終了時点で要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、補助金交付は行われないので注意してください。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(デジタル枠)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の中には、「デジタル枠」と呼ばれる補助金があります。
デジタル枠は、補助金を利用して、ITを活用した生産性向上に取り組む企業を支援する制度です。
デジタル枠は、補助金の申請や運用について一定の条件があり、一般枠の基本要件に加え、以下の追加要件を満たす必要があります。
- DXに資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業計画であること
- 経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること
- IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「 ★ ★ 二つ星」いずれかの宣言を行っていること
補助金の対象となる費用
- サービス開発費
- 設備投資費
- デジタル機器購入費
- システム開発費 など
補助上限額は従業員数によって異なり、補助率は最大で2/3程度となります。
そもそもインボイス制度とは?
インボイス制度とは、取引先に発行する請求書に税金の詳細を記載し、税金を納めるための制度です。
仕入品やサービスの代金に含まれる消費税額を、請求書上に記載することで、税務手続きの効率化や税収の増加を図ることができます。
インボイス制度に対応するために準備しておくもの
インボイス制度に対応するためには、準備が必要です。
請求書のフォーマットを確認し、登録番号や区分別の消費税などの必要な情報を記載できるようにしておきましょう。
そのためには、経理システムを導入し、請求書の作成や管理を効率化することが重要です。
インボイス制度に関する知識を持ったスタッフを確保することも重要です。
インボイス制度の基本的な仕組みや手続きについての研修やセミナーを開催することで、スタッフの理解を深めることができます。
会計ソフト
インボイス制度に対応するためには、会計ソフトの導入が有効です。
会計ソフトを利用することで、手作業での計算ミスを防ぐ、作成や管理がスムーズに行えるなどのメリットがあります。
会計ソフトで出来ること
- 自動計算
- 請求書の作成
- 複数の請求書を一括発行
- 顧客情報の管理
- 売上や収益の分析
- 確定申告書の作成
レジ
小売業や飲食店業など、不特定多数の者に対して販売等を行う事業者の場合、レジで発行するレシートや領収書も「簡易インボイス」と呼ばれるものになります。
請求書を交付したい事業者は、レジの導入が有効です。
インボイスに対応したレジを使うことで、以下のようなメリットがあります。
- 自動で計算
- 請求書の自動生成
- 顧客情報の管理
- 電子決済に対応
レジに請求書のフォーマットを登録しておくことで、必要な情報を入力するだけで、請求書が作成されます。
また、電子決済を導入することで、現金やクレジットカード以外の支払い方法にも対応できます。
補助金を受給するときの注意点
補助金を受給するためには、所定の申請書類や申請経費の証明などが必要です。
必要書類を事前に用意しましょう。
また、補助金の利用目的を明確にする必要があります。
達成したい目的を明確にし、申請書に記載します。
補助金を受給した場合は、返還義務が発生する場合があります。たとえば、補助金を不正に受給した場合や、補助金の利用目的に反する行為を行った場合などが該当します。
補助金の利用にあたっては、返還義務の有無についても確認しておくことが重要です。
何がいくら必要なのかを明確にする
インボイス管理システムの導入費用など、何がいくら必要なのかを明確にします。それに応じてどの補助金が適しているかを確認します。
申込期限を確認しておく
補助金の申請にあたっては、申込期限を確認しておくことが重要です。申請期限を過ぎると、申請を受け付けてもらえない場合があります。
補助金の申請期間は、補助金の種類によって異なります。一般的には、補助金の公募期間や締切日が設けられているので、その期間内に申請を行いましょう。
補助要件を確認しておく
補助金には種類があり、それぞれ補助要件が設けられています。
例えば、IT導入補助金では、ITツールやシステムの導入に関する補助要件があります。
また、小規模事業者持続化補助金では、事業計画の策定や財務管理など、事業の持続化に関する補助要件が設けられています。
補助要件を確認することで、自社の状況と補助要件がマッチしているかどうかを把握し、準備を行うことができます。
まとめ
この記事では、インボイス制度の補助金があることについてと、受給する際に注意すべき点についても解説しました。
具体的には、申込期限や補助要件の確認をしておくこと、補助金を受けるためには必要な書類の用意や申請書の記載内容に注意することなどを述べました。
補助金を活用することで、中小企業や個人事業主などがインボイス制度に対応しやすくなり、業務効率の向上や経営改善につながることが期待されます。