記事の要約
- インボイス制度は、基本的にアルバイト給与には影響を与えない
- アルバイトを雇用する企業の経営状況に影響が出た場合、インボイス制度により、アルバイトにも影響が及ぶことは考えられる
- 仕入税額控除を受けたい課税事業者からは、適格請求書の交付、もしくは消費税分の差し引きを求められる場合がある
インボイス制度はアルバイト給与にも影響がある?
インボイス制度は、主に企業間のビジネスに関する支払いや請求書の管理に関係しており、従業員の給与には直接的な関係はないとされています。
ただし、企業や事業主がインボイス制度に従うことで、その企業の業績や財務状況に影響があると、アルバイト給与にも波及する可能性は考えられるかもしれません。
基本的に影響は受けない
アルバイト給与に関しては、基本的に影響はありませんが、雇用されている企業が、インボイス制度により税金の負担が増加した場合、税金の負担を抑えるために、アルバイト給与を削減することがあるかもしれません。
ただし、アルバイト給与の削減は法律によって保護されており、適切な手続きや理由なしには行うことはできません。
インボイス制度の影響を受ける人
インボイス制度により、個人事業者や仕入れ税額控除を受けたい事業者は、影響を受けるでしょう。
課税事業者は、発行する請求書に関する記載事項や発行手続きなどについて、より厳密なルールを守る必要があります。
仕入税額控除を受けたい課税事業者
仕入額控除は、課税事業主が消費税を納める際に、自社の課税対象となる商品やサービスの仕入れに関する税額を控除する制度です。
課税対象となる商品やサービスを購入した際に支払った消費税額を、自社の納税義務として支払う消費税額から差し引くことができます。
免税事業者や事業者以外の消費者から仕入れた時も、仕入税額控除の対象となります。
支払った対価の額は消費税および地方消費税込みの金額とされ、消費税額として仕入税額控除を行うことが可能です。
適格請求書として該当されない請求書に対しては、消費税を支払っても、仕入税額控除の対象とはなりません。
適格請求書の記載項目は、ほかの請求書と違い以下の2項目が追加で必要になります。
- 税率ごとの消費税額
- 登録番号
適格申請書を発行できる課税事業主であれば、仕入額控除を受けることができます。
適格請求書の交付を求められる事業者
適格請求書とは、消費税法に基づき、課税される取引において発行される請求書のことです。
適格請求書の交付を求められる事業者は、原則として、消費税の課税対象となる取引を行う事業者です。適格請求書に必要な情報を正確に記載した請求書を発行する必要があります。
従来は、法人や個人事業主の前々年度の売上が1000万円を超えた場合に課税事業者となる義務がありましたが、適格請求書発行事業者の登録を行う場合は、売上を問わずに登録した年から課税事業者となります。
アルバイト給与以外に収入がある場合は?
アルバイト給与以外に収入がある場合、インボイス制度の影響を受ける可能性があります。
例えば、
- 個人事業主として商品やサービスを提供している
- 受託業務をしている など
が該当します。
個人事業主としての収入がある場合
個人事業主としての収入がある場合、インボイス制度の影響を受けることがあります。
個人事業主が商品やサービスを提供した場合、請求書を発行する必要があるでしょう。
個人事業主としての売上が1000万円未満であったとしても、適格請求書事業者であれば、納税義務が生じます。
免税事業者のままなら消費税を納税する必要はありませんが、取引先側が仕入税額控除を行えなくなるため、取引額の値引きなどを相談されることもあるかもしれません。
インボイス制度が導入された場合、請求書に、受領した金額や支払日、支払元、消費税額などを適切に管理する必要があります。
別途業務を受託している場合
受託業務に対して報酬が支払われる場合、請求書を発行する必要があります。請求書の内容や発行日、請求書番号などを適切に管理し、税金の申請を行う必要があるでしょう。
まとめ
インボイス制度は企業間の取引において、消費税の取扱いを改善する制度であり、アルバイト給与については源泉徴収制度が適用されているため、インボイス制度の影響はあまり受けないとされています。
一方、アルバイト給与以外に個人事業主としての収入がある場合には、その収入についてはインボイス制度の影響を受ける可能性があることが分かりました。
具体的には、適格請求書の交付などを求められる場合があります。請求書の発行や管理、税金の申告などについては、税務署や税理士などの専門家に相談することも出来ます。