令和5年10月からインボイス制度が始まるにあたり、個人事業主として活動されている人に大きく影響を受けるのではないかとみられています。個人事業主の方で法人成りのことを検討されている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、法人成りにどんな影響があるのか、いつ法人成りにすればいいのかをご紹介していきます。
インボイス制度の影響を考えた上での法人成りのベストなタイミングは?
法人成りは、個人事業主の方が法人化することで、個人事業主が会社を設立し事業を引き継ぎます。
インボイス制度が法人成りに与える影響としては、2年間の消費税免除の期間があることで、消費税を納める義務が発生するのは、さかのぼって2年前の課税売上高が1000万円以上となっています。
法人成りをすると、消費税を納める義務が発生するのは法人化してからの売上高で判断されるので、法人成りをする前の2年間の売上高は対象にならずに済み、法人成りをしてから2年間は消費税を納める義務がありません。
ですがインボイス制度が始まると大きな影響があり、消費税を納める義務がないということは免税事業者であるためインボイスが発行できず、取引先が減るなどの影響があります。
ここからは、法人成りをするのにベストなタイミングはいつがいいのかをご説明していきます。
1.利益額増加
法人成りをするのにベストなタイミングとしての1つ目は、利益額増加のタイミングです。
個人事業主の方ですと利益に応じて所得税を支払っていると思いますが、所得税の税率は、所得が増えると当然上がっていきます。法人成りをすると、法人税を支払わなくてはなりませんが、資本金1億円以下で利益が800万円以下ですと税率が15%、利益が800万円を超えると税率が23.20%と固定されています。なので、利益が800万円以上であれば法人化した方が税率が抑えられるので、法人成りを考えた方がいいかもしれません。
また、独断ではなくきちんと税理士などに相談したほうがいいでしょう。
2.消費税納税
2つ目は消費税を納税するタイミングです。
上記でもご説明していますが、消費税を納める義務が発生するのは2年前の売上高が1000万円以上の場合であり、このタイミングで法人成りをしていると先の2年間は納税する義務が発生しません。ですが、資本金が1000万円以上であったり、給与の支払いが1000万円以上、設立した年の前半期の6か月間の売り上げが1000万円以上であると課税対象になるので注意が必要になります。
もちろん取引先との関係もきちんと考えた上で判断するのをおすすめします。
3.社会的信用の獲得
3つ目は、社会的信用を獲得するタイミングです。
法人成りをすることで、社会的信用を得られますし、取引を円滑に進めることができ、資金調達もしやすくなります。法人成りをしていると銀行の融資を受ける際にも審査が通りやすいなどどいうメリットもあります。
個人事業主のままよりは法人成りをしていることで取引を増やせる可能性もありますので、今後の事業拡大に向けて法人成りを考えているのであれば、社会的信用を獲得するタイミングがいいでしょう。
【法人成り】インボイス制度の影響を受けたくない人の特徴
インボイス制度が始まる前に法人成りをするのにベストなタイミングについてご紹介しました。
ここからは逆に、法人成りを検討している方で、インボイス制度の影響を受けたくない人の特徴についてご説明していきます。
1.業務負担を増やしたくない
事務作業や営業活動などで多忙で時間がない方は、法人成りはやめておいた方がいいかも知れません。
法人化する際は定款を作成したり、公証役場で認証を受けた後、法務局に行き法人登録するなど、どうしても作業用が多くなってしまいます。法人成りをした後も申告書を作成したりと、経理業務が増えます。
資金に余裕があり専門家に委託できれば負担は増えないでしょうが、業務負担を増やしたくないのであれば法人成りはやめておいたほうがいいでしょう。
2.経費負担を増やしたくない
運用する資金に余裕がなく、経費の負担を増やしたくないのであれば、見送ったほうがいいでしょう。
法人化すると、収入が赤字でも法人市民税を納税する義務があり、年間7万円を支払わなくてはなりません。また人件費についても、法人ですと社会保険の加入が義務付けられるので費用が増えると想定していなければなりません。
なので、インボイス制度で影響を受けたくない人は控えましょう。
インボイス制度導入前に法人成りしたほうがいい?
インボイス制度が導入される前に法人成りをしていた方がいいのか気になりませんか?現在個人事業主であられる方で法人成りを検討している人もいるでしょう。インボイス制度が導入されるのは令和5年10月からです。
その前に法人成りをした方がいいのか、また導入前にやるべきことについてこれからご説明していきます。
令和3年10月よりも前に法人成りすべき
制度が導入されるのは令和5年10月からです。
法人成りをすると、先の2年間は消費税の納税が免除されますので、その前の令和3年10月よりも前に法人成りをしておくと良いでしょう。法人化を考えているのであれば、今後やるべきことは増えるかもしれませんが、法人化することでメリットもあるので、ぜひ早めの検討をしてみてください。
インボイス制度導入までにやるべきこと
法人化し、インボイス制度導入前にやるべきことはなにか気になりませんか?導入前までにやるべきことは、年間の納めるべき消費税の確認と、消費税から経理方法を選ぶことです。
では、経理方法について詳しく見ていきましょう。
1.課税事業者のケース
消費税を納める義務がある課税事業者であるなら、「税込経理方式」と「税抜経理方式」を選べます。
税抜経理方式を選ぶなら、仮受消費税と仮払消費税の差額から、消費税額を確認することが出来ます。なので、消費税額を確認するのなら税抜経理方式を選ぶと良いでしょう。
2.免税事業者のケース
消費税の納税を免除されている免税事業者であるなら、「税込経理方式」になります。
税込経理方式は売り上げや仕入れ高など、消費税と地方消費税をも含めて算出します。税抜経理方式は選べません。
まとめ
インボイス制度が導入されると、法人成りで影響が出るとみられています。
今回は、インボイス制度で法人成りにどう影響するのか、また法人成りをするのにベストなタイミングはいつなのかをまとめてみました。インボイス制度が導入されるまで1年を切っていますので、法人成りを考えているのであれば、早めの検討をおすすめします。