記事の要約
- 振込手数料は、お金を支払う側が負担するのが法律上の原則
- 売り手が振込手数料を負担する場合、適格返還請求書を交付する
- 振り込み手数料のインボイスは、ATMを利用することで、適格請求書の交付義務が免除される
補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!
インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。
そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。
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振込手数料の扱い
企業間の取引において振込手数料は、買い手が負担します。
売り手負担の場合では、適格返還請求書を要します。
適格返還請求書とは、振込手数料を売り手が負担したことを証明する書類のことです。
適格返還請求書の交付がないと、振込手数料にかかる消費税を仕入税額控除の対象にできません。
インボイス制度導入前の扱い
インボイス制度の導入前は、振込手数料について売り手と買い手との協議で自由に決めることができました。
そのため一般的に売り手が振込手数料を売上からの値引にすることも行われていました。
インボイス制度導入後の扱い
2023年8月現在、交付の義務は、中小企業・小規模事業者を対象とした簡易的な取扱いが認められており、振込手数料が1,000円未満の場合、適格返還請求書の交付が免除されます。
また今までは、3万円未満の取引は請求書がなくても消費税の控除が可能でした。
しかし制度導入後は、仕入額控除を受けるには、売り手が返還インボイスを交付しなければならない場合があります。
インボイス制度導入後の振込手数料に関する対策
振込手数料を抑えるには、振込方法を工夫するのも有効です。例えば、ATMを利用することで、振込手数料を節約できます。
ATMは「自動販売機特例」となり、インボイスや立替の精算書等は要りません。
自動販売機特例とは、インボイス制度において、自動販売機または自動サービス機からのもの(一回の取引に係る金額が税込みで3万円未満のもの)の課税仕入れについて、
インボイスの交付義務が免除され、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる制度です。
自動販売機特例の適用を受ける場合、仕入税額控除を受けるためには、以下の事項を記載した帳簿を保存する必要があります。
- 課税仕入れの年月日
- 課税仕入れに係る相手方の名称(住所及び電話番号を含む。)
- 課税仕入れに係る資産の品名、数量及び単価
- 課税仕入れに係る金額(税込み)
- 課税仕入れに係る取引の仕方(自動販売機等を利用した方法である旨)
売り手は、買い手の差し引き額が振込手数料であることや立替の支払がATMでの振込みであるかを確認した上で、帳簿のみの保存があれば仕入税額控除が可能になります。
買い手側の対策
インボイス制度導入後、買い手側は振込手数料をなるべく抑えたいという考えがあるでしょう。
対策としては、以下の3つの方法が考えられます。
- 振込手数料を負担してもらう
取引先と振込手数料を事前に合意しておくことが重要です。
- 振込手数料を値引きにする
振込手数料相当額を値引きとして処理する方法もあります。比較的現実的な方法と言えるでしょう。
- 振込手数料を立替金として処理する
振込手数料について取り決めがない場合は、立替もあります。
ただし、この方法は事務負担が増える可能性があります。
また、2023年7月1日に発表された「令和5年度税制改正大綱」では値引きについて交付義務を免除する対策が設けられることに。
これにより「振込手数料を値引きした1万円未満の取引」についてはインボイスの交付が不要となります。
売り手側の対策
- 売上値引きとして処理する
振込手数料を売上値引きとして処理することで、適格請求書の交付義務を回避することができます。
- 仕入明細書を交付する
振込手数料を仕入明細書に記載し、買い手に交付することで、買い手が仕入税額控除を受けられます。
- 交付された適格請求書を適切に保存する
交付された適格請求書は、7年間保存する必要があります。紙で交付された場合は、ファイリングやスキャニングなどで保存しましょう。
電子データで交付された場合は、国税庁の電子帳簿保存法対応システムなどを利用すると、簡単に保存することができます。
振込手数料の適格請求書は金融機関が交付する
手数料の負担として、振込サービスを受けた金融機関から適格請求書を交付してもらいます。
以下のような流れになります。
- 買い手が金融機関に振込を行う
- 金融機関が振込手数料を徴収する
- 金融機関が買い手に対して適格請求書を交付する
ATMで振込をした場合は、交付義務が免除されます。
まとめ
インボイス制度の振込手数料の対策についてご紹介しました。
振込サービスを受けた金融機関から適格請求書を交付してもらい、適格請求書を保存しておくことで仕入税額控除ができます。
また一部の事業者については、少額特例を受けることができます。
少額特例の適用を受けられない事業者に関しては、書類の保存等を要する支払手数料をかけるよりも、売上値引きとする方法の方が事務負担がかからないかもしれません。
補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!
インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。
そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。
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