記事の要約
- インボイス制度は各企業への負担が大きいため、中止や延期を求める声が多数出ている。
- 反対の声はあるものの、現状ではインボイス制度はまもなく導入の見込みである。
- インボイス制度スタートにより、各企業で対応が必要な事が出てくるため、早めに済ませておくようにする。
インボイス制度の中止の声が叫ばれている理由
いよいよインボイス制度がこの秋からスタートします。
各企業では対応に追われているかと思いますが、実はこのインボイス制度、中止を求める声が各方面から上がっています。
インボイス制度自体は消費税導入時点より、いつかはスタートする事が決定していましたが、様々な面で企業や個人に負担がかかり、国民の生活を圧迫するのではという事が問題視されているからです。
インボイス制度がスタートすれば、具体的にどのような問題が出てくるのでしょうか。
こちらの記事ではインボイスの中止を求める問題を取り上げて解説していきます。
まず、インボイスの中止が叫ばれている理由から確認してみましょう。主な理由は以下の4つです。
- 免税事業者の負担が大きい
- 業務負担の増加、コスト増加の懸念
- 適格請求書発行事業者になると情報が公開される
- 免税事業者への発注がなくなる可能性がある
それぞれ以下にて詳しく解説します。
免税事業者の負担が大きい
インボイス制度がスタートすると、課税事業者はインボイスと呼ばれる適格請求書がなければ仕入れの税額控除を受けることができなくなります。
つまり、課税事業者側は、インボイスを発行してもらえなければ消費税の負担がふえることになるため、免税事業者と呼ばれるインボイスを発行できない業者に対して、取引価格の値引き交渉をしてきたり、インボイス発行ができるように対応してほしいなどの依頼をしてくる可能性が高くなります。
こうなると困るのは免税事業者です。
免税事業者がインボイス発行ができるように対応する道を選んだ場合は、納税事業者になる必要があるため、今まで支払わなくてもよかった消費税を納税しなければなりません。
一方、値引き交渉に対応する道を選んだとしても、収入が減少するため負担はどちらにしても増えることとなります。
取引中止を求められたりすることも少なくはないでしょう。
免税事業者は個人経営などの小さな会社が多く、インボイスが始まればかなり大きな負担を強いられることとなるため、インボイスに反対する声が多く上がっています。
業務負担の増加、コスト増加の懸念
免税事業者ばかりが負担を強いられるかというと、そうでもありません。
課税事業者は各種業務負担がかなり増える可能性が高くなっています。
取引先の企業でも、インボイスに対応するために課税事業者になることを選択する事業主もいれば、現状維持でインボイス非対応のまま業務を続ける事業主も出てくるでしょう。
免税事業者は、それぞれの事業者の請求書業務の管理をしなければならないため、社員の負担が増加したり、インボイス対応の新システムを導入するためのコストなどが発生する可能性があります。
適格請求書発行事業者になると情報が公開される
インボイスに対応し、適格請求書を発行できる事業者になると、専用サイトにて登録した人の氏名などが公開されるようになります。
また、任意登録ではありますが住所なども登録でき、更にこれらの情報はダウンロードも可能になっているのです。
個人事業者の中には本名で活動をしていないネット小説家などもいます。
個人情報が筒抜けになってしまう事も看過できないとして大きな問題になっています。
免税事業者への発注がなくなる可能性がある
上記でも解説しましたがインボイス制度がスタートすることにより、一番影響を受けてしまうのは免税事業者です。
同じ商品を納品することができるインボイス発行対応会社Aと、インボイス発行不可能なBという会社があった場合、納税事業者は間違いなくA社を選ぶことになります。
B社を選択すると、より多くの消費税を払わなければならないからです。
特に発注単位が大きくなってくるとB社を選択するメリットがなくなってしまいます。
免税事業者は残念ながら仕事の依頼が減る可能性が高いと言えるでしょう。
インボイス制度は中止される?
インボイス制度に関しては、日本の経済状況などを鑑みた上で中止や延期を求める声がかなり多いのは事実ですが、実際に中止や延期の可能性があるかというと、ほぼないであろうというのが現在の見解のようです。
インボイス制度自体はここ一年くらいで急速に各所で取り上げられるようになりましたが、導入自体はすでにかなり前から決定しており、そのために多くの企業が準備を進めています。
過去に一度、消費税の増税に伴い、導入が延期されたことはありますが、今回はそのような事は考えにくく、そのあたりの理由も中止や延期の可能性がかなり低い理由のひとつになっています。
今できることは?
インボイス開始がほぼ確定している今、出来ることは何でしょうか。
続いてインボイス制度開始前に検討しておくべきことや、対応すべき事をご紹介します。
制度が始まる事は知っているが、まだ何の準備もしていない、何を検討すべきかわからないという方はぜひ参考にして下さい。
インボイス開始にあたり、対応の検討が必要なのは以下の2点です。
- 業務システムの見直し
- 適格請求書発行事業者への登録申請
それぞれ以下にて解説します。
業務システムの見直し
必ず必要になるのが、まず業務システムの見直しです。
すでに課税事業者である場合は、インボイスに対応した新しいフォーマットの請求書の作成が必要となります。
また、企業によっては新しい業務システムを導入するケースも出てくる可能性があります。
企業の収益に関わることですので、直前になってあわてて対応してしまわないように早めに準備を進めておきましょう。
また、免税事業者も同様に業務システムの見直しは必要です。
インボイス制度がスタートすれば、取引の縮小や仕入れ価格の値引きなどの交渉を迫られる可能性が高くなります。
その点を踏まえて事前に経費削減が出来そうなことは対応しておく、少しでもコストを抑えて納品が出来るようにする業務システムを見直しする等の対応をあらかじめ済ませておきましょう。
適格請求書発行事業者への登録申請
現在、免税事業者である場合は適格請求書発行事業者(納税事業者)に変更するかどうかを検討しなければなりません。
インボイスへ対応する事を選択した場合は、納税地の管轄の税務署に「登録申請書」を提出し適格請求書発行事業者への申請を行ってください。
もちろん適格請求書発行事業者への申請は企業が決める事ですので、免税事業者のまま今後も営業を続けていくという選択肢も可能です。
対応窓口が混み合う可能性がありますので、適格請求書発行事業者への登録をするという選択をした場合は、早めに手続きを済ませておくようにしましょう。
まとめ
インボイス制度がスタートする事により、各企業は様々な対応の変更を強いられなければならず、インボイス制度の中止や延期を望む声は各方面から出ています。
また、特に免税事業者にとっては頭の痛い制度であり、どのような選択をしても現在よりは収益が減ってしまう可能性が高くなってしまいます。
インボイス制度は、もうまもなく導入の見込みです。
免税事業者は適格請求書発行事業者に変更することを選択した場合、すみやかに申請手続きを行うようにしましょう。
免税事業者のまま業務を続けていく場合は、収益が減る可能性が高いので、コスト削減ができる所はないか、確認しておく事が重要です。
いまのうちに対応が出来そうなところは早めに検討を済ませておくようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。
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