記事の要約
- 仕入税額控除などで必要となる時のために、明細書や領収書は必ずとっておく
- 令和6年1月以降は、電子取引データの保存が義務化される
- 電子明細書や利用伝票、領収書はそれぞれ違う性質のものなので、代用の際には適用事項を確認する
補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!
インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。
そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。
株式会社アスライトでは補助金・助成金の申請が可能かどうかの無料診断を行っています。
インボイス制度導入後のクレジットカード関連の対応
インボイス制度が開始されるため、クレジットカード関連と領収書の発行などの関係について知りたい方もいるのではないでしょうか。
クレジットカード明細の取扱いなどについて解説していきます。
クレジットカードを使用した際は、その利用明細をWEB上で閲覧できます。その電子取引の利用明細については、保存しておかなければなりません。
一方、令和5年10月から開始されるインボイス制度は、利用明細の保存だけでは仕入税額控除ができません。
何故かというと、各取引が行われた利用明細をクレジットカード会社側でインボイスとして記載整理するといった対応が現実的に困難であるからです。
取引相手の店舗から記載事項を満たす領収書を受け取ったら、必ず保存しましょう。
また3万円未満の取引では、一定事項を記載した帳簿の保存があると、仕入税額控除を受ける際の規定がなくなります。
【電子取引と仕入税額控除に関するクレジットカード明細等の保存対応】
制度 |
種類 |
時期 |
||
令和5年9月以前 |
令和5年10月以後 |
令和6年1月以後 |
||
電子帳簿 |
WEB明細 (カード会社発行) |
必要(出力した書面保存でも可) |
必要 |
|
領収書等データ (店舗等発行) |
||||
消費税 |
WEB明細・紙の明細 (カード会社発行) |
不要 |
||
領収書等データ (店舗等発行) |
不要※1 |
必要※3 |
||
紙の領収書等 (店舗等発行) |
必要※2 (3万円未満は不要) |
※1:一定事項を記載した帳簿保存で控除可
※2:3万円未満は一定事項を記載した帳簿保存で控除可
※3:インボイスの記載事項を満たす電子データ(又は電子データを出力した書面) と紙のいずれかを保存で控除可
仕入れ税額控除を受けるためには
悩める人:「インボイスが始まった後、クレジットカード明細書や店が発行する領収書はどうしたら良いの?明細書と領収書は、どっちも仕入額控除の際必要になるの?」
仕入商品やサービスに関連する明細書や領収書は、保存する必要があります。仕入税額控除を主張するための証拠となるからです。
税務申告や会計の目的で必要になる時のために、明細書や領収書は必要となります。
カード会社発行の明細書
カード会社発行のWEB明細書・紙の明細書についてみていきましょう。
カード会社から発行される明細書は、仕入額控除などを受けるために重要な情報源です。
明細書には、取引の日付、仕入れた商品やサービスの詳細、金額、取引先の情報などが含まれているか確認します。
電子帳簿保存法の改正により、令和6年1月以後から電子取引データの保存が義務化されます。
なお、出力した紙の明細書は受け付けられません。
カード会社発行の明細書を電子データで保存しておかなければなりません。
店が発行する領収書
店が発行する領収書についてみていきましょう。
領収書は、顧客が商品やサービスの購入を証明するだけでなく、税務申告や会計の目的のためにあります。
インボイスの記載事項を満たす電子データか、電子データを出力した紙の領収書のいずれかを保存してください。
よくあるクレジットカード取り扱いの質問
- 利用伝票とは?
- 保管する期間は?
- 収入印紙は必要?
発行される利用伝票とはなんですか?
クレジットカードの利用伝票とは、クレジットカードを利用した際に、販売者が発行する明細書のことです。いわゆる「クレジット売上票」と同じものです。
利用伝票には、取引の日付、時刻、取引金額、商品やサービスの詳細などの他、カード番号などクレジットカードの情報が記載されています。
利用伝票は、店舗が保管する必要があります。
これは、売上の証拠として将来的な問題やクレームに備えるためです。
レシートや領収書と似ていますが、少し違います。
クレジットカードの決済では、購入者と販売者との間にクレジットカード会社が仲介していますよね。
販売者には、決済時に現金を受け取る代わりとして、領収書が発行されています。
現金決済の直後で、販売者が金銭を受け取る際に手渡す領収書とは少し異なっているのです。
クレジットカードの利用伝票って領収書の代用になるの?
税法によって変わります。
法人税と所得税にははっきりとした規定がありませんが、消費税法上では、適用する内容が記載された利用伝票であれば、領収書として認められます。
利用伝票を保管すべき期間は?
利用伝票は、税務申告や会計目的で必要になる期間がありますが、税務法によって要求される場合、5〜7年間保管する必要があります。
個人事業主や法人は、帳簿などの書類を確定申告の提出期限から最大で7年間、保管することが原則となっています。
領収書や利用伝票も、同様に保管しましょう。
こちらは紙での保管が原則とされています。
利用伝票を電子データに変換して保管した場合は、税務署での手続きが必要となってしまいます。
なお、前々年分の所得が300万円以下の方もしくは白色申告の方は、5年間の保管が必要です。
収入印紙は必要ですか?
収入印紙とは、契約書や申請書、公的な手続きなど、特定の文書や取引に使用されるものです。
土地の売買契約、賃貸契約、労働契約、訴訟手続き、公的な申請書類などにも利用されます。
収入印紙が貼付された文書は、関係者の合意が示されており、文書の正当性や法的な証拠として使用される場合があります。
- クレジットカードでの決済における収入印紙は税申告などに必要か?
それは「印紙税法」に該当するかで判断されます。
印紙税法は、印紙税の対象や税率、印紙の貼付、徴収手続き、罰則などが定められています。
クレジットカードの利用伝票については、印紙税法上の領収書ではありません。
- クレジットカード決済時に領収書を発行した場合は?
その領収書は、クレジットカードを利用したかの記載によって変わります。
記載があれば、書類に「領収書」とあっても、印紙税法上としての領収書にはあたりません。
クレジットカードでの決済は信用取引に基づき、決済の場で金銭を受け取った領収書にあたる証明ではないとされるからです。
したがって、領収書ではない収入印紙は不要となります。
なお、クレジット利用の記載がない場合は、現金決済での領収書と変わらないので、印紙税法上の領収書という扱いになります。
まとめ
インボイス制度導入後のクレジットカードの利用伝票と領収書の違いや保管方法などについて解説しました。
クレジットカードでの決済には、電子明細書の保管と、出来ればレシートや領収書をとっておくのが最適でしょう。
また、任意の領収書を発行の際、クレジットカード利用の旨を領収書に記載すれば、収入印紙の方は不要となります。