インボイス制度

インボイス制度導入後の経過措置とは?対象者や適用期間・条件などを解説します

記事の要約

  • 経過措置は、課税事業者の負担をへらすため
  • 経過措置の期間は2023年10月1日~2029年9月30日
  • 経過措置中の仕入れ税額控除の事務処理には注意が必要

補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!

インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。

そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。

株式会社アスライトでは補助金・助成金の申請が可能かどうかの無料診断を行っています。

インボイス制度に対応するための補助金制度を活用しませんか?

  • 個人事業主・小規模事業者でも申請が可能
  • 最大250万円を受給できる
  • 持続化補助金今だけ0円でサポート!

補助金を受給できるか診断する

インボイス制度導入後の経過措置とは?

インボイス制度導入後の経過措置とは?

インボイス導入後の経過措置とは、課税事業者が適格請求書発行事業者でない事業者からの行う仕入れも税額控除できるという内容です。

仕入れ税額控除とは、自社の売上にかかる消費税額から、自社の仕入れにかかった消費税額を差し引いた額を消費税として納める制度です。例えば月の売上が500万円で、かかった経費が200万円だとしましょう。この時、消費税の全額は70万円ですが、これをまとめて国に納めると20万円多く納税していることになります。というのも、この事業者の経費は取引相手の売上でもあります。取引相手は自分の売上にかかる消費税を支払わなければいけないので、1つの取引で2回分の消費税が納税されてしまいます。なので、売上が500万円の事業者は、経費200万円の消費税を控除した額を納付すればいいのです。

インボイス制度開始後は、インボイスの発行がないと仕入れ税額控除を行うことができなくなります。免税事業者はインボイス発行が認められていないので、課税事業者はこれまで控除してきた消費税の支払いが必要です。

しかし仕入れ税額控除の経過措置があることによって、課税事業事業者はインボイス発行事業者以外からの請求書でも一定割合の控除を受けることができます。

経過措置の対象者・適用期間

経過措置の対象者は、適格請求書発行事業者と取引している課税事業者です。

次に適用期間とその内容については以下の通りです。

  • 2023年10月1日から2026年9月30日まで:80%控除
  • 2026年10月1日から2029年9月30日まで:50%控除
  • 2029年10月1日以降:控除なし

経過措置の期間は6年間で、インボイス制度開始直後は20%、3年後に30%と段階的に控除割合が少なくなっていきます。

経過措置の条件

経過措置を受けるためには条件があります。それには帳簿および要件を満たした請求書の保存が必要です。

帳簿

まず消費税率8%と10%で区分した区分記載請求書等保存方式で記載する必要があります。さらに、例えば「80%控除対象」のように、適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要です。必要な記載は以下の通りです。

・課税仕入れの相手方の氏名又は名称
・課税仕入れを行った年月日
・課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
・課税仕入れに係る支払対価の額
                         引用:経過措置(免税事業者からの仕入れに係る経過措置)

 

 

請求書関連

区分記載請求書等と同様の記載事項が必要です。具体的な記載事項は以下の通りです。

・書類の作成者の氏名又は名称
・ 課税資産の譲渡等を行った年月日
・ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の
譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
・ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
・ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
引用:経過措置(免税事業者からの仕入れに係る経過措置)

 

経過措置期間の仕入れ税額控除の計算方法

では、経過措置期間の仕入れ税額控除はどのように求めればよいでしょうか。

仕入れにかかる消費税額を求める際、原則積上げ方式を使用します。なお、今回は所得税のうち国税にあたる「標準税率7.8%」「軽減税率6.24%」を用いて計算していきます。

計算した消費税額に、経過措置期間の控除をかければ、経過措置中の消費税額が求められます。

仕入額(税抜)を5,000円としたとき、どのような計算になるか見ていきましょう。

<2023年10月1日から2026年9月30日までの場合>

・税率が10%の場合
課税仕入額(税込)×7.8/110 =仕入税額相当額
仕入税額相当額×80/100=仕入税額控除額

▽実際の計算例
5,500円 × 7.8/110=390円
390円×80/100=312円

・税率が8%の場合
課税仕入額(税込)× 6.24/108=仕入税額相当額
仕入税額相当額×80/100=仕入税額控除額

▽実際の計算例
5,400円×6.24/108=312円
312×80/100=250円(1円未満の端数は切り捨てまたは四捨五入)

<2026年10月1日から2029年9月30日までの場合>

・税率が10%の場合
課税仕入額(税込)×7.8/110=仕入税額相当額
仕入税額相当額×50/100=仕入税額控除額

▽実際の計算例
5,500円×7.8/110=390円
390円×50/100=195円

・税率が8%の場合
課税仕入額(税込)× 6.24/108=仕入税額相当額
仕入税額相当額×50/100=仕入税額控除額

▽実際の計算例
5,400円×6.24/108=312円
312円×50/100=156円

インボイス制度導入後の経過措置に関する注意点

インボイス制度導入後の経過措置に関する注意点

次にインボイス制度導入後の経過措置における、仕訳方法と税額計算についての注意点を解説します。

仕訳方法

正しい仕訳が行えないと、会社の決算や確定申告がしっかりしたものでなくなるので、とても重要です。

課税事業者と免税事業者が発行する請求書や税額控除率は異なるので、分けて保存することが大切です。

次に、インボイスと同じように税額控除できない分の仕訳の方法について解説します。以下の2通りあります。

  • 仕入税額控除が受けられない%分を該当費目に上乗せする
  • 「雑損失」などに振り替える

こちらもそれぞれのケースにおいて、免税事業者から消耗品を2,000円(税抜)で仕入れた時の具体例を見ていきましょう。

<費用に該当するケース>
・現行の仕訳方法

借方 貸方
消耗品費 2,000
現金
2,200
仮払消費税 200

・控除80%期間中の時

借方 貸方
消耗品費 2,040
現金
2,200
仮払消費税 160

<雑損失で区分するケース>
・取引時点の仕訳

借方 貸方 概要
消耗品費 2,000
現金
2,200
80%控除対象
仮払消費税 200

・決算整理時での仕訳

借方 貸方
雑損失 40 仮払消費税 40

税額計算

インボイス制度実施後、仕入れ税額控除の計算は原則「積上げ計算」を行います。ただし、売上税額を「割戻し計算」している場合に限り、仕入れ税額も「割戻し計算」できます。

積上げ計算は、取引先から受け取った適格請求書などの請求書等に書かれた消費税額等において、仕入れに係る部分の金額の合計額に78/100をかけて、仕入れ税額をします。式で表すと

(請求書の消費税額等における課税仕入れに係る金額合計)×78/100=仕入れ税額の合計

割戻し計算は、課税仕入れ額に区分された税率ごとに異なる値をかけて、求めた値を合計して計算します。具体的には以下の通りです

・軽減税率の場合
(軽減税率の対象となる課税仕入れ)×6.24/108=軽減税率の対象となる仕入れ税額
・標準税率の場合
(標準税率の対象となる課税仕入れ)×7.8/110=標準税率の対象となる仕入れ税額
・仕入れ税額の合計
(軽減税率の仕入れ税額)+(標準税率の対象となる仕入れ税額=仕入れ税額の合計

インボイス制度導入後の経過措置に関するよくある質問

インボイス制度導入後の経過措置に関するよくある質問

それでは最後にインボイス制度導入後の経過措置に関して、よくある質問を整理します。

2割特例を選択した場合はどうなりますか?

2割特例とは、免税事業者が新しく課税事業者になった場合に、課税売上における納付額が2割になるという制度です。期間は2023年10月1日から2026年9月30日までです。

2割特例を理解するために、実際に計算してみましょう。売上が税抜100万円だった場合、売上をもとに計算するので、100万円×80/100=8万円が仕入税額控除となります。そのため負担額は10-8=2万円となり、結果的に売上の2割分を負担する計算です。

課税事業者のタイミングにより2割適用はできませんか?

インボイス発行事業者として登録しており、2割適用の期間中であれば可能です。2割特例は個人事業主の場合、2023年(10~12月)から2026年までの申告分の計4回、法人の場合2024年3月決算分(10月~翌3月)から2027年3月決算までの計4回分が対象です。

2割特例を受けるための手続きは、消費税の確定申告書に2割特例を受ける旨を記載すればいいだけです。そのため2割特例適用期間中であれば、課税事業者のタイミングで2割適用が可能です。

まとめ

まとめ

インボイス制度後の経過措置の対象者や適用期間、条件を解説してきました。適用期間としては6年間ありますが、3年の区切りで仕入れ税額控除の割合が少なくなります。そのため、現在免税事業者と取引中の課税事業者は、6年間という期間の中で、関係性を見直す場面もでてくるかもしれません。

経過措置期間は会計処理も複雑になるので、インボイス制度についてしっかり調べ、対処するのが重要です。

補助金を活用してインボイス制度へ対応しよう!

インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式を適格請求書に合わせる必要があります。そのため、既存の会計、受発注システムの改修・新規購入が必要です。しかし、多くの中小企業、小規模事業者にとってコスト増は大きな負担になると考えられます。

そんな時におすすめなのが「補助金」です。補助金を活用すればインボイス制度へ対応するための費用をカットできるかもしれません。

株式会社アスライトでは補助金・助成金の申請が可能かどうかの無料診断を行っています。

インボイス制度に対応するための補助金制度を活用しませんか?

  • 個人事業主・小規模事業者でも申請が可能
  • 最大250万円を受給できる
  • 持続化補助金今だけ0円でサポート!

補助金を受給できるか診断する

-インボイス制度
-,